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| ■■■ 乳がんの超音波検診 ■■■ |
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わが国で乳がんは女性のがんの中で最も多く(国立がんセンターがん対策情報センター http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01.html)、2007年の死亡者数は11,322人で部位別に見ると5番目ですが、65歳以下の比較的若い世代では1位で年々増加傾向にあり、(ちなみに2007年の交通事故による死亡者は5,744人です)国を挙げてがん検診の普及に努めていますがなかなか効果が現れていないのが実情です。 一方、欧米では日本に比べて乳がんにかかる割合(罹患率)は高く、乳がん患者数も増えていますが死亡率は減っています。これは有効な検診システムと治療法の確立によるところが大きいと考えられます。 【乳がんの検診方法】 乳がん検診にはご存知のように (1) 視触診、(2) 乳房X線:マンモグラフィ、(3) 超音波検査 の3通りの方法があり、港区では国がすすめる指針に沿って30歳以上のかたに視触診を、40歳以上のかたに視触診に加えて隔年でマンモグラフィを行っています。 【乳がんの日本と欧米との違い】 乳がんにかかる年齢は、欧米では閉経以降60歳代でかかることが多いのに対して、日本人は30歳代から増え始め、40歳代でピークを迎えます。 乳房の構造の年齢による変化を見ると、乳腺は閉経後薄くなっていきますが、3〜40歳代は出産をして授乳をする年代ですから当然乳腺は発達し厚く密度も高くなっています。そのためマンモグラフィを行うとX線の透過性が悪く白っぽくなってしまい(高濃度乳房)、腫瘤などの検出能力が高齢者に比べて低くなってしまうという問題点があります。 【乳房超音波検査の長所、短所】 欧米においてはマンモグラフィの歴史が長く、乳がんにかかる年齢層も60歳以降とマンモグラフィによる検出率も高いことから超音波検査は比較的軽視されてきましたが、近年超音波機器、診断技術の向上に伴い認識が新たにされています。 超音波検査は視触診やマンモグラフィで検出できない乳がんも診断できることがあります。マンモグラフィは乳がんに伴う石灰化(カルシウムの細かい粒)の検出に威力を発揮しますが、超音波検査は腫瘍(しこり)や嚢胞(袋状のもの)を検出しやすいという特性があるため、マンモグラフィで検出率が低くなる高濃度乳房とされる症例で、超音波検査でのみ診断がつく乳がんが多いことが示されています。 さきほどお示ししたように、日本人は若年者の乳がんが多く、マンモグラフィで高濃度乳房とされる症例が多いため、超音波検査は日本人に適した検査法といえます。 しかし、超音波検査は臨床では有効な検査法ですが、「対象とする集団の乳がんによる死亡率を減少させる」という目的の乳がん検診に関してはまだ十分な研究がなされておらず、死亡率減少効果について根拠となる研究結果はまだ見つかっていません。現在、「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験:J-START(http://www.j-start.org/)」が10万人以上を対象に開始されており、その研究結果が待ち望まれています。 その他、乳房超音波検査の問題点として、がんではないのに精密検査が必要になる疑陽性症例が多くなること、マンモグラフィのように全体を1枚のフィルムに収めるのではないため、再現性に乏しいことなどが挙げられますが、2004年に「乳房超音波診断ガイドライン」が作成され診断基準や用語の統一も図られ診断精度は年々向上しています。 【今後の超音波による乳房検診】 日本は乳房の超音波検査において世界をリードして来ました。超音波検査は視触診と異なり検査技師が行うことが出来るため(判定は医師が行います)、すでに多くの人間ドックなどの検診機関では超音波検査による乳がん検診が行われています。また、みなさんが検診で訪れる産婦人科にはほとんど超音波装置があります。 今後、J-STARTなどの研究成果が明らかになれば、超音波検査を併用した乳がん検診が広く普及していき、乳がんの死亡率の低下に貢献するものと思われます。みなさんもぜひ毎年乳がん検診をお受けになってください。 堀産婦人科 |